免許を取ってトラックに乗る前、あるいは乗り始めたばかりの頃は、「車体が大きくて、ちゃんと曲がれるだろうか」「見えない場所に人がいたらどうしよう」と不安になる方が多いものです。その不安の中心になりやすいのが、左折のときの「内輪差」と「死角」です。
内輪差と死角の基本と、左折時の巻き込み事故を防ぐための確認手順をこのページで解説します。仕組みを知って手順を身につけておけば、現場に出る前の不安はぐっと小さくなります。
JAFの交通安全情報では、内輪差について「車は曲がる際、前輪より後輪が内側を通る」と説明されています。ハンドルを切って曲がるとき、前輪が通った道筋よりも、後輪は内側に入り込むということです。
同じくJAFは、車体が長いトラックは内輪差が大きく、後輪が歩道に乗り上げるおそれがあると指摘しています。左折するときに、ドライバーが前輪の位置だけを見てハンドルを切ると、後輪が想像より内側を通ってしまいます。そこに歩行者や自転車がいると、巻き込みにつながります。
普段乗っている乗用車の感覚のまま曲がらないことが、トラック運転の第一歩です。
広島県警察の交通安全情報では、大型貨物車は車体が大きく、荷台などがあることから、普通車よりも大きな「死角」があると説明されています。特に左斜め後ろの死角は大きく、直接見ることもミラーで見ることもできないとされています。トラックは車体が大きい分、運転手からの死角の範囲も大きくなるので要注意です。
| 場所・場面 | 気をつけたいポイント |
|---|---|
| 左斜め後ろ | 直接見ることもミラーで見ることもできない範囲があります。 |
| 左側のミラー | 福岡県警察は、左折時には自転車がミラーに映りにくいと注意を呼びかけています。 |
| 窓枠の柱(ピラー) | 広島県警察の資料では、窓枠柱による死角も図で示されています。 |
| 駐車場内でのバック | 交差点での左折時の巻き込みと並んで、駐車場内のバック事故にも注意が必要です。 |
見える範囲は車種によって違います。入社したら、自分が乗る車両で、座席に座ったまま見える範囲と見えない範囲を確認しておきましょう。
警察やJAFが示している対策をもとに、左折のときの確認手順を整理します。
過去には、交差点で左折中の大型貨物自動車が横断中の歩行者と衝突し、歩行者が亡くなった事故が起きています。左折する大型貨物車に直進してきた自転車が巻き込まれた死亡事故も発生しています。決して他人事ではありません。慌てず、手順どおりに確認する習慣が、自分と相手を守ります。
国土交通省の「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」では、事業者が初任運転者に対して、車両の構造上の特性や運転支援装置の使い方を理解させること、危険の予測と回避の技能を習得させること、安全運転の実技を指導することが求められています。座学は15時間以上、実技は20時間以上とされています。会社の研修で、内輪差や死角を実際の車両で体験できるか、採用前に確認しておくとよいでしょう。
参照元:【PDF】国土交通省(貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針)
内輪差は「曲がるとき、後輪が前輪より内側を通る」ことで、車体が長いトラックほど大きくなります。死角は、特に左斜め後ろが大きく、ミラーだけでは確認できない範囲があります。
左折のときは、減速、左ミラーの確認、目視(首振り)、左側との間隔、ハンドルを切るタイミングの5点を守りましょう。仕組みと手順を知っておけば、トラック運転への不安は着実に小さくなります。