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配送ドライバーの熱中症対策

長時間車を運転する配送ドライバーは、暑い夏には熱中症に注意する必要があります。そこで、どのような対策を行うと良いのか、熱中症の場合にはどのような症状が出るのかなどをまとめました。

やっておきたい熱中症対策

熱中症を防ぐためには、対策をしっかりと行っておくことが大切です。ここでは、意識して取り組みたい熱中症対策について見ていきましょう。

こまめな水分補給

まず、対策として重要なのが「水分補給」です。この時のポイントは、「喉が渇いていなくてもこまめに水分を摂ること」です。仕事中はエアコンを使用しながら運転をすることになりますが、冷たい風を感じていると喉の渇きに気付きにくくなります。

さらに、運転時は緊張している状態が続くために、実は思ったよりも汗をかいてしまっているケースも。このような環境の中で仕事をしていくことになりますので、喉の渇きを感じていなかったとしても、まめに水分を補給するように心がけてください。

涼しい場所での休憩

近年、待機中のアイドリングストップが義務付けられているケースもあります。エンジンを切った車中は非常に温度や湿度が上がりやすい状態となるため、休憩中はできるだけ涼しい場所に移動するように意識してみてください。

また、場合によっては車の中で仮眠をとることもありますが、エンジンを切って仮眠をすると熱中症のリスクが上がってしまいますので、できるだけ避けるようにしましょう。

普段から健康管理をしておく

疲労が溜まっていたり、睡眠不足の時には熱中症のリスクも高くなるといわれています。この点から、熱中症を予防するためには日頃からしっかりと健康管理をしておくことも大切なポイントです。

特に、発熱していたり下痢の症状があったりする場合には、脱水症状につながってしまう可能性も。もし体調が悪いと感じた時には、無理せずに休みを取る決断をすることも大切です。

塩分を取る

熱中症対策のためには、塩分を適度に摂取することも大切です。もちろん塩分過多になってしまうのは良くありませんので、毎日の食事を通じて程よく塩分を摂ると意識しておくと良いでしょう。特に、大量の汗をかいた時には塩分補給は注意したいところです。

ただし、かかりつけの医師から塩分の摂取について制限されている場合には、医師と相談しながら熱中症対策を行っていくことが大切です。

睡眠環境を整えておく

上記で少しご紹介していますが、良い睡眠をとることも熱中症対策を行う上では大切なポイントです。毎日よく眠るためにも、睡眠環境を整えておくようにしましょう。夏の暑い時期はエアコンや扇風機をうまく使って朝までぐっすりと眠れる環境づくりを行うことが大切です。

バランスの良い食事を摂る

さらに日々の食生活の見直しも大切です。栄養バランスが整った食事を心がけて、丈夫な体を作ることが熱中症予防につながります。好きなものばかり食べている、食事を抜いてしまうことが多い方などは、バランスの取れた食生活を送れるように気をつけてみてください。

飲み物を持ち歩く

こまめに水分を摂るためには、いつも飲み物を持ち歩くことがポイントです。水筒を使えば飲み物の冷たさが長時間キープされるのでおすすめ。飲み物を持ち歩く癖がつけば、気づいた時にすぐに水分を補給できます。上記でもご説明していますが、ポイントは「喉の渇きを感じる前に飲む」ことです。

熱中症指数を確認する

夏になると、毎日天気予防などで「熱中症指数」という言葉を耳にする機会が増えます。この熱中症指数はWebなどでも公開されているため、毎日確認してみることがおすすめです。熱中症指数が高めに出ている日は特に注意するように心がけると、熱中症予防につなげられるはずです。

持っておきたい暑さ対策のアイテム

熱中症対策に役立つグッズはたくさんあります。自己管理をしっかりしないと、猛暑日では命の危険さえあるため注意が必要です。

クーラーボックス

クーラーボックスに飲み物を入れておけば、温くなるのを防げます。保冷機能を備えたクーラーボックス、車の中でも使用できる小型冷蔵機などもあります。1分1秒もムダにできないほど忙しい、待機中など飲み物を買うタイミングがない時にクーラーボックスが役立ちます。

日よけ

待機中、車内から離れられないケースもあります。猛暑日だと、熱中症のリスクは高まりますが簡単に離れられません。少しでも暑さ対策をしたいならサンシェードや日よけが役立ちます。フロント以外にサイドにも備えるといいでしょう。

扇風機や保冷剤

扇風機や保冷剤も用意しておきましょう。保冷剤をクーラーボックスに入れておけば、万が一熱中症になりかけたとき応急処置ができます。冷感・冷却スプレーは一時的に涼しくなりますが、発汗が抑えられてしまい熱中症リスクを高める可能性があるため使いすぎに注意が必要です。

マスクによる熱中症リスク

猛暑や湿度が高い時期、無理にマスクをすると熱中症のリスクが高まるため注意が必要です。屋外、人との距離が2メートル以上確保できるなら、無理にしなくてもかまいません。マスク着用時は、できるだけ激しい運動を避けて水分補給をしましょう。マスクをしなくてはならない状況なら、タイミングを見計らって一時的にでも外して休憩しましょう。

運送業の熱中症事例

運送業で起きた実際の熱中症事例をご紹介します。「自分は大丈夫」という油断が命を危険にさらすため、事例を知って対策を練りましょう。

発生時の状況

引っ越し作業中の事例です。気温は35度にも達していました。被災者は引っ越し作業がはじめてでした。高層住宅4階の依頼主宅が現場です。被災者は依頼主宅で、小物類の梱包とへトラックの積み込みを任されました。

依頼社宅での荷物の積み込み作業時点では、とくに大きな問題がなかったようです。午後4時頃に荷物の積み込みも終わり、引越し先へ向かいます。引越し先に到着したのは午後4時30頃でした。

依頼主宅の4階まで引っ越し荷物の搬入をスタートさせ、搬入作業が一段落したため休憩することに。その時、トラックの荷台から物が倒れるような音が聞こえたため同僚たちが荷台へ駆けつけると、倒れている被災者を発見しました。

同僚たちは、まず被災者を荷台から下ろして横向きに寝かせ薬を飲ませましたが、被災者が痙攣。茶碗を振り落とすほどの症状だったため、すぐに救急車を呼んで病院へ収容しましたが、被災者は熱射病により死亡してしまいました。

参照元:厚生労働省_職場のあんぜんサイト(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/sai_det.aspx?joho_no=100739

原因

原因は1つではありません。まず、気温が35度の炎天下でした。そんな状況下で働き続けた結果、体温調節機能の失調や体温や脳温上昇による中枢神経障害が起きたと考えられます。

また被災者は炎天下での作業経験自体があまりなかったという点も原因としてあります。引越し作業はきつい肉体労働であり、長時間対応になる仕事です。そのため作業中、過度な負担がかかり続けていました。

作業中の水分補給は行っていたようですが、塩分補給は不足していたのも原因の1つです。直射日光から守るための帽子も着用していませんでした。

その他被災者をはじめとして、指示をする職長や同僚作業員みんなが熱射病への知識も持っておらず、充分な応急処置も行えませんでした。

対策

気温、作業内容、労働者の健康状態を考え、確実に休憩時間や作業を止める時間を確保しなければいけません。作業場所にはスポーツドリンクをはじめとして、水分と塩分を簡単に補給できる体制を整えることも重要です。

服装も熱の吸収や保熱するものは避け、良好な吸湿性と通気性のある衣服と帽子を選びましょう。管理側は健康診断を通じ、健康管理と適正配置、睡眠時間の確保、栄養指導日まで日常的に健康管理指導を実施するべきです。

炎天下での作業は、熱中症の症状と予防法、緊急措置と事例などの教育を通じて情報を共有していくことで事故を防げます。万が一を考え、病院や診療所の場所と連絡先を把握し、緊急連絡網を構築して関係者に周知しましょう。

熱中症の症状が少しでも見えたら、涼しい場所で体を冷やし、水分と塩分補給を徹底。必要なら緊急通報を利用し、医師の手当てを受けましょう。

熱中症の応急処置

熱中症は、応急処置の有無で生存率が変わります。自分はもちろん、同僚や周りの方が熱中症で不幸な結果にならないためにも、応急処置の周知が重要です。

涼しい場所へ移動する

涼しい場所に移動します。屋内なら冷房が効いている場所、なければ木陰や日陰などです。扇風機やエアコンも使ってください。

水分を補給する

水分補給は、水やスポーツドリンクなどを少しずつ飲むだけでも違います。急に飲むと腹痛のリスクがあるため、飲み過ぎは注意が必要です。ただ、水分補給では単純に水分を摂取さえすれば大丈夫というわけでもありません。汗で塩分が失われている状態のため、塩分補給も重視してください。たとえば、梅干しや塩分補給ができるアメを常備するのもおすすめです。

衣類をゆるめる

衣類をゆるめて休みましょう。もし被災者の服が大量の汗で濡れているなら、新しい衣服に着替えさせてください。汗をかいてもすぐに乾くような衣服が適しています。

体を冷やす

水で濡らしたタオルを手足や首筋に当ててください。足首、足の付け根、わきの下など、動脈が通る部位を冷やすといいです。扇風機やうちわで風を送るだけでも変わります。

筋肉が痙攣していたら

筋肉が痙攣する状態を熱痙攣といいます。空気が停滞している場所、夏場の工事現場で起きやすい症状です。小刻みに痙攣するのが特徴で、筋肉痛に似たような痛みを生じるケースもあります。太もも周辺で最初に現れ、手や全体で痙攣が起きます。パニックにならないように落ち着いて体を冷やす、水分や塩分の摂取と速やかな病院への連絡が必要です。

皮膚が赤く熱がある場合

プールや海で起きることが多い症状です。体を冷やすのが第一で、首、脇の下、足の付根を集中的に冷やします。氷もあれば使ってください。なければ、タオルを冷たい水で濡らして冷やします。同時に水分補給を行います。

年齢が若く体力もあると、応急処置で拡幅するケースもありますが油断は禁物です。一時的によくなっただけで再発する危険性があります。回復後は速やかに病院で診察を受けることが大切です。

熱中症の症状

熱中症になってしまった時に見られる症状にはさまざまなものがあります。万が一のために、どのような症状が出たら熱中症の可能性が考えられるのかを知っておきましょう。

めまい・ほてり

熱中症を発症した際にはめまいや立ちくらみ、ほてりなどの症状を感じることがあります。このようなサインは熱中症の初期症状といわれています。場合によっては意識が遠のいてしまったり、腹痛などの症状が見られるケースもあります。

筋肉の痛みや痙攣

熱中症のサインとして、筋肉の痛みや痙攣が起こることもあります。例えば、手足の筋肉がぴくぴくする、足がつってしまう、手足にしびれを感じる場合には、熱痙攣と呼ばれる症状の可能性も考えられます。熱痙攣は、たくさん汗をかいた後に水分は補給したものの、塩分の補給をしっかりと行わなかった時に起こることがあるとされています。

だるさや吐き気

だるさを感じて体に力が入らない、吐き気がする、実際に吐いてしまうのも熱中症による症状の可能性が考えられます。ぐったりとして動けない場合にも注意が必要です。また、だるさや吐き気とともに頭痛を感じるケースもあります。

汗が流れ続ける・汗をかいていない

熱中症では、汗のかきかたにも変化があります。例えば、汗が流れ続ける場合。タオルやハンカチでふいてもふいても汗が出続ける場合には熱中症の可能性が考えられるでしょう。また、逆に全く汗をかかないケースもありますので、汗のかきかたがいつもと違うと感じる時には熱中症を疑ってみてください。

体温が高い

体温が高くなっている状況も、熱中症のサインです。熱中症が重症化すると高熱が出ることがありますので、皮膚を触ると非常に熱く感じる場合には熱中症によるものの可能性が考えられます。

初期の熱中症では、体温を下げようとしてたくさん汗をかきますので、そこまで体温の上昇が見られない場合もありますが、汗をかきすぎて体内の水分が失われると、次は体温が上がっていきます。熱中症では40℃を超える熱が出ることもあります。

呼びかけても反応がない・まっすぐ進めない

声をかけたり名前を呼んでも反応がない、反応はあるもののその返答がおかしい時には、重度の熱中症の症状の可能性があります。また、まっすぐ歩けなかったり体がガクガクとひきつけを起こしている時も注意してください。このような症状が見られる場合には、早急に医療機関の受診が必要です。

水分補給ができない

さらに、自分で水分補給ができない場合も危険な状態であるといえるでしょう。このような症状が見られる時には、無理に水分を口に入れて飲ませようとせずに、すぐに医療機関を受診してください。

車内の隠れ脱水に注意

長時間車を運転するドライバーが注意したいのは、「車内での隠れ脱水」です。車内はエアコンを使用していることから涼しいと感じているかもしれませんが、輻射熱を受ける関係で想像よりも水分を消費しているケースが多くなっています。また、エアコンを使用すると空気が乾燥するため、気づかないうちに脱水症状に陥っていることがあります。このように、気づかないうちに進行している脱水症状を「隠れ脱水」と呼んでいます。

隠れ脱水にならないためにも、喉の渇きを感じていなくてもこまめに水分を補給するように心がけましょう。